Campagnolo ZONDA ハブベアリング打ち替え&オーバーホール

2020.05.31
メンテナンス関連

こんにちは!メカニックの渡辺です。

Campagnolo(カンパニョーロ)社製のホイール「ZONDA(ゾンダ)」のハブベアリング打ち替えとオーバーホールのご依頼をいただきましたので作業レポートをさせていただきます。

フロントホイールを回転させるとゴロゴロと異音が発生するとのことで、神奈川県横浜市よりお持ち込みいただきました。(2019年11月)

 

分解して異音の原因を探ります

 

実際に異音を確認させていただいた際の感触で、片側のベアリングがダメになっていることが予想されました。

そして分解して案の定、右側のベアリングが腐食していました。

通常ピカピカ光っていなければならないボールは、下の写真のように茶色く錆び、ボールが収まる部分のカップやコーンも虫食いが発生し、でこぼこになってしまっていました。

 

 

つるつるピカピカが基本の部品ですので、スムーズな回転を蘇らせるには交換となります。

片側のみバラ部品で交換するのと、左右セット品のハブキットで交換するのと価格差が殆どありませんでしたので、その旨をお客様に確認し、左右セットで交換させていただきました。

 

カンパニョーロ社はイタリアの老舗自転車部品メーカーです。こんな小さな部品にもパッケージに「MADE IN ITALY」と書かれています。

 

 

リアハブもオーバーホール

2年近くメンテナンスされていないとおっしゃっていたので、リアハブもチェックしました。

ひどく汚れて古くなったグリスは酸化し硬くなっていました。

これでは、スムーズな回転と潤滑はできていませんのでオーバーホールを行います。

 

 

シール類は取り外し、入念にクリーニングしていきます。

とくに、ゴムのシールは傷めないよう別工程で溶剤は使わず、清潔なウエスで拭き取っていきます。

 

 

通常はあまりばらすことのない、リアハブのフリーボディ内に収まるベアリング2つもオーバーホールいたしました。

 

 

約50個の部品を一つひとつ「分解洗浄」

すべての部品を分解洗浄しおわりました。

部品点数が多かったので作業途中でドモホルンリンクルのCMを思い出してしまいました。『毎日4時間製造ラインを止めて、分解洗浄する』という少し前に流れていたCMです。再春館製薬所の人と気持ちで繋がれたようでした。

 

 

早速、綺麗になった部品を最適なグリスを使い、組み込んでいきます。

 

 

ハブ本体にカップを慎重に圧入します。

カンパニョーロのハブ用グリスが廃版となっており、セラミックとフッ素ポリマーを配合したグリスで組み上げます。

ベアリング空間容積に対するグリスの量は、回転抵抗と耐久性のバランスが良いとされる7割ほどで組み上げました。

 

 

緩んでガタが出ることが多いハブですので、規定トルクで組み上げます。

最後にプラスチックハンマーで軽く衝撃を加え、初期なじみをとり完成です。

 

 

作業を終えて

今回のベアリングが片側だけ腐食してしまった原因は、フロントハブの小さなカバーが欠落した際、そのままの状態でご使用されており、ベアリング内部に水が入って腐食したようです。

 

オーナー様は『こまめにメンテをしていれば、部品交換までせずに済んだのに。』と悔やまれていました。

しばらくメンテしていないお客様は、一度オーバーホールをお勧めいたします。

 

バイクエッグではフルクラム、今回取り扱ったカンパニョーロの他、フルクラムなどのホイール販売、そしてオーバーホールを随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。