Madone SLR DISC 「Project One」組み立てレポート

2020.11.13
メンテナンス関連

こんにちは。メカニックの渡辺です。

今回は、TREK「Project One」フルオーダーシステムでご注文いただいた、Madone SLR DISCの組み立てレポートです。

 

TREK「Project One」とは?

TREK「Project One」対応車種

 

「Project One」は、人気モデルを自分用にフルカスタマイズすることができる、TREKだけのフルオーダーシステムです。
フレームカラーやロゴのデザイン、高性能なパーツを自分好みに選んで、世界に一台だけのロードバイクに仕上げることができます。

 

 

1日でも早くお客様にお届けするため航空便で輸送され、通常ご注文から1~2か月で到着致します。

今回はオーナー様立ち会いの元、開封式を行いました。私共スタッフもワクワクする瞬間です。

 

 

世界にたった1台のオリジナルのバイクを前に、杉浦店長からポイントをご説明をさせていただきました。

新しい技術で作られたフレームは、昔では考えられないくらい乗り心地よく優しいバイクになっています。

 

さっそくMadone SLR DISCの組み立て開始!

まずは7割ほどパーツが組みつけられたバイクをフレーム単体の状態までバラし、当店オプションのガラスコーティングを行います。

下処理には超微粒子コンパウンドを使い梱包の際にわずかについた擦り傷や塗装面の肌を整え、アルコールで脱脂を行います。

 

 

ご依頼いただいたプレミアムコーティングはガラスの鎧とカガミの甲冑をダブルで施工し、強靭な皮膜を形成します。

 

 

霧吹きで吹きつけた水とガラスコーティング剤を反応させながら塗布します。

数分で硬化が始まりますので手早く塗布し、その後24時間放置して完全硬化させます。

 

 

しっかりと乾燥させたら、事前に行ったフィッティングで決定したハンドル高に合わせ、ステアリングのコラムカットを行います。

下の写真のように、今回は2.5cmほどカットいたしました。

 

 

新型Madoneは、旧モデルMadone9で心配のあったハンドル周りのウィークポイントが解消されました。

落車などの際にハンドルが切れすぎて、フレームを破損させないように工夫がなされました。

下の写真では見え難いかもしれませんが、ボルトで固定しようとしているのは黒い小さな部品で、その部品が追加されたことでフレーム破損を予防してくれます。

高価なバイクを安心してお乗りいただけるようになりました。

 

 

ヘッドベアリングは、錆と水の侵入を防ぐためにグリスを適量塗布します。

グリスの粘度は、流れ出にくい硬めの指定グリスを使用しています。

 

 

ブレーキワイヤーとシフトワイヤーは、エアロロードならではのワイヤリングでフレーム~ステム~ハンドルの内部を通るので、外からは一切見えません。

ワイヤーが擦れる部分の面取りをすることにより、ワイヤーの痛みを軽減させます。

 

 

シフトアウターワイヤーとブレーキホースを最適な長さでカットします。

ブレーキホースはオイル漏れをおこさないように専用工具のホースカッターを使います。

 

 

シフトインナーワイヤーには専用のグリスを塗布し、アウターワイヤーも切り口などの処理を綺麗に仕上げることにより、軽快なフィーリングに仕上げていきます。

 

 

ディレーラーハンガーやブレーキのチェック

続いては、ディレーラーハンガーのアライメントをチェックします。

5mmほど修正したほうがよさそうでしたので、フレームからディレーラーハンガーを外して、万力を使用し角度調整を施しました。

現行のMadoneのディレーラーハンガーは頑丈にできていますので、取り外して作業を行いました。

もちろんキズをつけないように養生はしっかりと行います。

 

 

フロントディレーラーの取り付けです。

サポートボルトプレートをフレームの形状に合わせて折り曲げ、張り付けます。

 

 

直付けタイプのディレーラー取り付けにはカーボンアッセンブルコンパウンドを薄く塗布し、最大取付トルクの5Nm未満でもしっかりと固定できるようにしています。

 

 

続いてブレーキのブリーディングを行います。

ブリーディングとはブレーキホースをカットした際にホースに内に入りこんだ空気を外に排出する作業です。

エアーが入ったままでは、ブレーキレバーのストローク量が多くなりすぎたり、ブレーキタッチがフニャフニャで、しっかりとブレーキをかけられません。

一番重要な部分ですのでしっかりと時間をかけて行います。

 

 

ブレーキレバーにセットした黄色い容器に小さな泡がたくさん出てきました。

バイクの角度を変えながら、しばらくレバーを操作させエアが出なくなったら一旦終了、時間をおいてさらにエア抜きを行います。

時間を置くことによりホース内の細かいエアーが一つの大きなエアーにまとまり、排出されることが多いためです。

 

 

いよいよ組み立て完了です!

バーテープを巻き上げて組み立て完了となります。

エアロハンドルですが、今回はオーナー様の乗り方と上ハンドルを握った際のグリップを考慮してセンター付近まで巻き上げました。

 

 

オプションのボトルケージは軽量ボトルケージXXX(トリプルエックス)です。公表値19gですが、実測では17gでした。

 

 

ついに完成しました!!真っ赤なフレームにホワイトの『TREK』ロゴ、50mmハイトのホイールもフレームのボリュームにマッチして最高にカッコ良いですね!!

 

 

 

 

 

大変ご好評をいただいているMadoneシリーズをご検討の方は、当店へお気軽にご相談ください。

経験豊富なフィッター杉浦のサイジングと細部にまで手をかけるメカニック渡辺の組立で、お客様の期待に応える1台に仕上げて参ります。

ではでは、今回も最後までご覧いただきまして有難うございました。